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21日のウクライナ大統領選決選投票で政治経験のないコメディー俳優のウォロディミル・ゼレンスキー氏(41)が現職のペトロ・ポロシェンコ大統領(53)に圧勝した。既存政治家への不満が高まる中、刷新を訴えて勝利したが、ロシアに併合されたクリミア半島の問題や親ロシア派との紛争など外交・安全保障の難題が山積している。欧州とロシアに挟まれたウクライナの状況は国際情勢を左右するため、欧米はゼレンスキー氏がどのようにロシアへ対応するか注視している。
◇米長官が電話
「米国はウクライナの主権と領土の一体性を支持する」。決選投票直前の19日、ポンペオ米国務長官はポロシェンコ氏のほか、ゼレンスキー氏とも電話で話し、ウクライナ支持を伝えた。選挙結果が出る前に米国務長官が候補者と電話するのは異例とも言えるが、ゼレンスキー氏の対ロ方針を探る狙いもあったとみられる。フランスのマクロン大統領も12日、訪仏したゼレンスキー氏と会談し、東部の紛争などについて意見を交わした。
ゼレンスキー氏は欧州統合路線を取るが、ポロシェンコ氏が対ロ強硬姿勢を前面に出していたのに対し、対ロ批判は抑えてきた印象だ。紛争解決に向けては「ロシアとの交渉は避けられない」と述べるなど一定の対話姿勢も見せる。
ゼレンスキー氏は公約で「紛争終結と一時的に占領された領土回復を実現し、占領者に損害を償わせる」と表明したが、ロシアを名指ししていない。
こうした姿勢のゼレンスキー氏が、外交巧者のロシアのプーチン大統領に押し込まれてしまうのではという懸念は欧米の間でくすぶっているもようだ。ゼレンスキー氏は19日の公開討論会で「人生で一度もプーチン氏と話したことはないし、紛争が始まってからはロシアに行っていない」とロシアとのつながりを否定した。
◇ロシアは歓迎
一方、ロシアはポロシェンコ氏からゼレンスキー氏への交代を歓迎している。2014年のクリミア併合を機にロシアと欧米の関係は悪化し、対ロ制裁も続く。クリミア併合の熱狂も冷め、支持率も落ち込むプーチン氏がゼレンスキー氏との対話に乗り出す可能性はある。ロシアのペスコフ大統領報道官は今月、ゼレンスキー氏との対話に関し、「挑発的でさえなければ、プーチン大統領は対話にオープンだ」と語っている。
ロシアは昨年11月にクリミア周辺海域でウクライナ艦船を拿捕(だほ)。乗組員の拘束を続けているが、ウクライナの研究機関「新欧州センター」のレオニド・リトラ上級研究員は「もしロシアがウクライナ大統領選後に乗組員を解放すれば、本心はともかくロシアが新大統領との対話と東部の紛争解決に前向きであると示すことができる」と指摘する。
仮に乗組員が解放されれば、影響は2国間にとどまらない。プーチン氏とトランプ米大統領は昨年、アルゼンチンでの20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせて会談を予定していたが、拿捕を受けて正式な会談は中止となった。リトラ氏は、解放なら「プーチン氏とトランプ氏の会談に向けた障害はなくなる」とも語り、米ロ関係が動きだす可能性にも言及した。(キエフ時事)